ワイヤー放電加工とは

初級

ねぇねぇお父さん。ワイヤー放電加工って何?

どうしたんだ?突然。

いいから教えてよー

知ってどうするんだ?

いいからー

(...怪しい...)ま、いいか。
ワイヤー放電加工ってのはな、W-EDM(Wire-Electric DischargeMachining)とも言う電気加工法の一つだ!
(...難しいかな...)

えー!なにそれー!どういうこと?

(...やっぱりな...)
なぁ、鉄は硬いと思う?

何よいきなり。硬いにきまってるでしょ!

じゃあ鉄を削る時ってどうやって削るか知ってるかい?

それは...鉄よりもっと硬いもので削るんじゃない?
包丁を研ぐみたいな感じで!

お、えらい!よくわかったな!

ふふん。

じゃあ旋盤とかフライス盤って工作機械のことは知ってるかな?
ま、流石に知らないか...

旋盤は品物を回転させて、バイトという工具で削る機械で、フライス盤はフライスやエンドミルとかの工具を回転させて削る機械でしょ?

お、お前、何でそんなこと知ってるんだ?

そりゃあ、こないだケンジくんのうちに遊びに行った時に聞いたんだ。

...ケンジくんって誰だ!?

ヤバ...

お前は俺の知らない間にー

いいからいいから!続きを教えて。

...その通りだ。
バイトやエンドミルなどの切削工具を使う加工方法を切削加工と言うんだ。
切削工具の代わりに砥石を高速で回転させて削るのを、研削加工と言う。
これらは古くから在る加工法だが、電気加工は新しい加工法になるな。

へー新しいんだ。

新しいって言っても現在の放電加工の原理を発明したのは1940年代の旧ソ連のラザレンコって人と言われているんだよ。

ふーん。
ところでその放電加工について詳しく教えてよ。

放電加工は刃物や砥石で削るのとは違って、熱で材料を溶かす加工方法なんだよ。

へー熱を使ってねー

その熱の元、つまりエネルギーを電気の放電スパークで発生させるわけ。

むー。急に難しくなったなー。

この前電気のコードをバチンとショートさせていただろう?

ああ、コードでつまずいた時ね。

あの時にショートしたところが焦げて電線が溶けていただろう?

うーん、そうだった気がする。

ま、早い話があれと同じってこと。

うーん、わかったようなわからないような...

さらに言うと実際に1回の放電で溶かされた材料のクズ(スラッジ)を少し進んで次の放電の衝撃で弾き飛ばして又溶かすということを目にもとまらぬ早業で次々と繰り返すことで思い通りの形に加工が進んでいくんだ。

ふーん、なんかすごいんだねー。
でもさ、電線のショートと同じなら鉄と鉄で電気を通して放電させたら両方共溶けちゃうんじゃないのー?

お、よく気付いたな!

やっぱりわたしって天才かしら?

アホか!だからな、放電加工では電極というものを使うんだ。
そして電極より品物の方が多く減るような電源回路の装置と、精密な送り装置をつけた機械を放電加工機というんだ。

ふんふん

それでな、その肝心の電極は純銅などで作り、加工する形の逆の形状を作って、主に彫り込み形状の加工をする機械を放電加工でも「形彫放電加工機」っていうんだ。

そうなのね。ところで「ワイヤー」っていうのはどうなるの?

そこでだ「形彫放電加工機」のムク(固形)な電極の代わりに、真鍮などで直径0.2mmぐらいの細くて柔らかいワイヤー線を電極として使うんだ。
このワイヤーの電極を送り出しながら放電加工する機械が「ワイヤー放電加工機」というんだ。
これも1960年代に同じく旧ソ連で発明されたという話だな。

ううう~ちょっとわかんなくなってきたー

いやいや、それほど難しい話じゃないぞ。「帯鋸盤」って知ってるか?

あー学校の授業でつかったことあるかもー

つまりな、帯鋸盤はエンドレスの鋸刃を使って切断するだろ?あの鋸刃の代わりに細いワイヤー線で放電して切断してくわけだ。

切断??直径0.2mmくらいのワイヤーで??
無理だよー

ただ切断するわけじゃない。放電して切断するんだ。

ああ、放電ね!スパークでしょー!

そうそう。だから帯鋸盤なんかに比べるとすっと細かくて精密な加工が出来るんだよ。

なるほどね~。
でもそれならケンジくんの家にあったレーザー加工ってのと同じじゃないかなー

ああ、熱を加工に使うという部分はレーザー加工も同じだな。でもあちらは光のエネルギーを利用して材料を加工しているだよ。

へーなんかすごいんだねー
それを発明した人はわたしの次くらいに天才かもねー

何言ってんだ。
ところで!ケンジくんってのは誰なんだ!

ありがとうお父さん!
じゃ、そういうことでー

まさかワイヤー放電加工についてもケンジってやつが絡んでるんじゃないのか!?
おーいこらー!待ちなさーい!

ドン!

父さん!そんなに急いでどこ行くの?

たけし!いや、みゆきのやつがな...

そんなこといいからさ、今の話聞かせてもらったよ...
巷じゃワイヤー放電加工博士って呼ばれてる僕を差し置いて今の話は聞き捨てならないね。

何?ワイヤー放電加工博士って...(誰が呼んでるんだろう)

中級

父さん、僕もやっとワイヤー放電加工博士って呼ばれるようになったんだ。
これで父さんに追いついたね。

(...いや、俺は呼ばれてないけど...)

さあこのワイヤー放電加工博士に何でも聞いてご覧よ!

そうかそうかお前も立派になったな。
じゃあ、具体的にワイヤー放電加工の原理を教えてもらえるかな。

お安いご用さ!
この図を見てみてよ。
左側が加工ワークで右側の円がワイヤー線の断面と考えておくれ。

ワイヤー線 (1)ワイヤー(電極)と金属(製品)は共に純水中で絶縁状態にある。
製品とワイヤーの隙間(極間)が数μmから数十μmぐらいまで近づくと、ついにお互いの絶縁が破壊され火花放電が始まる。
パルス電流 (2)放電が発生するとパルス電流が流れその間が、アーク柱と言う密度の高い放電状態になる。 そこでは数千度の高温が発生し、金属が溶融しだす。
パルス電流 (3)アーク柱は品物やワイヤーと一緒に水中にあるので、高温部分に触れた水が爆発的に蒸発しする。
その圧力で溶融した金属を吹き飛ばす。
パルス電流 (4)パルスが切れて電流が流れなくなると、回りの水が流れ込んできて細かなクズを押し流す排除しながら冷却もされる。
そして極間が確保され絶縁が回復する。そして①に戻り繰り返す。

この図では大きく書いてあるけど、一発の放電では数ミクロンからせいぜい数十ミクロン程度しか加工されないのだけれど、実際にはこのサイクルが1秒間に数十万回も繰り返されて加工が進むってことさ。

(...こいつ、いつもこの図を持ち歩いてるのか?...)
そうだな。
青白い光や加工中に「ジャー」という音が聞こえるんだよな。それが連続した放電の光と音ってわけだ。

そうさ!放電加工ってすごいよねー!

じゃあそのワイヤー放電加工機はどんな構造をしてるんだ?

ふふん。そんな質問が来ると思って用意していたのがこの図だ!

最近はこの図の形式とは違いY軸駆動がコラム移動式の機械も出てきているので要チェックだ!

「ドブ漬け」って知ってるか?

ふ、当然。
それは放電する部分への純水(油の場合もある)の供給方法で、 「吹き掛け式」と「浸漬式」があり、その浸漬式を、通称「ドブ漬け式」と呼んでいるね。
上下のノズルからワイヤー線に沿って直径数ミリの水柱状にした水を、噴射して供給する方式で「吹き掛け式」と言って今までの一般的な方式なんだ。
それに対し「浸漬式」は製品の加工部分を加工層の水中に沈めて加工する方法で、どんな複雑な製品形状でも水が途切れると言う事がない安定した方式だよ。

「自動結線装置」も大切なんじゃないのか。

今言おうと思ったんだよね。
「自動結線装置」ワイヤー放電加工の効率を左右する重要な装置だね。
ワイヤー加工で一枚の板に2つ以上の内形状や孔を加工しようとすると、1つ目の形状を加工したら、次の形状を加工するためには当然、1回ワイヤー線を切断して次の加工位置まで移動してから再びワイヤー線を繋がなくてはならない。
これを自動で行なう装置でワイヤー線をパイプで誘導するパイプ式やジェット水流でワイヤー線を通すジェット式などの方式があるよ。最近はジェット式が一般的だね。
でも昔は1ミリ以下のスタート孔に、この作業を人間がするしかなかったんだ。だから何十箇所も孔が有ったら、視力と努力と忍耐を必要としていたんだ。
だからマシニングセンターのATC(AutoToolChanger)と同じで、確実性とサイクルタイムが「自動結線装置」の性能ということになるね。
最近はサイクルタイムが10秒台の機械も出てきている。
ただ、ATCと違ってワイヤー加工の自動結線では、ワイヤー線が100%通るわけではないんだな。
ATCで工具交換が1本でも失敗したら大事故になってしまうね。
「自動結線装置」はメンテナンスの不足や下穴位置の不良等が主な原因で数%の接続ミスが発生してしまうんだ。
進むべき加工が夜間などにストップしていて、翌朝にミクロ技研は大慌てすることもあるんだ。

(...なるほど。よく勉強しているようだな...)
ところで、どんな加工形状が可能なのかな?

そうくると思った!じゃーこの表をみて。

内形状 製品に円形・矩形や異形の孔形状を加工する。
最も一般的な加工で安定して*多重カットが出来るので加工精度が高い。
(加工サンプル写真の1.を参照して下さい。内形状のギヤー加工です。何だか判りませんが!)
外形状 孔や内径を基準にして板材などから、製品の外形状を加工する。
製品が下に落ちないように、形状の数箇所にブリッジを付けて、後からブリッジを切り離す。研削等での追加工が必要。
(加工サンプル写真の2.と3.を参照して下さい。2.では外形状の櫛歯形を2工程で加工しています)
内外形状 内形状と外形状を一緒に形状加工を行なう加工。
内外形状の関係位置精度を高く出せる。
(加工サンプル写真の4.を参照して下さい。中心の孔と外周のスプロケットを同時加工して、0.02以下の関係位置を出せます。)
テーパー形状 内外形状にプラスとマイナスのテーパーを付ける加工。
(テーパー角度はミクロ技研では約15°ぐらいまでです。機種によっては45°ぐらいまで可能です)
上下任意形状 製品の上下面の形状が違う形状加工。
(加工サンプル写真の5.を参照して下さい。左のサンプルは下面が円形で上面が三角です。)
切断 細い切断代で製品を割ったり、スライスする加工。

*多重カット:セカンドカットとも言い、同一軌跡で少しづつオフセットをかけて
二回以上加工を行い、精度と面粗度を良くしていく加工法。

加工できる材質は電気が通ればいいってことだな?

そうだね!考え方はその通り!電気が導通する材料であれば加工は可能だよ。
ただ金属でも「ハステロイ」のような耐熱鋼などだと、融点も高いので当然加工スピードは遅くなるんだ。
また最近では焼結ダイヤや導電性のボンドのCBN、同じく導電性のセラミクスなどの非金属でも、電気を通すので加工が出来るんだ。
でもこの非金属の加工はあまり一般的とは言えないかな。

じゃー大事なワイヤー線の種類はどんなものがあるのかな?

へへへ。それも表にまとめてみました~。これをみて。

ワイヤー線の材質 真鍮、タングステン、モリブデン、鉄芯コーティング
ワイヤー線の太さ 0.02, 0.03, 0.05, 0.07
0.1, 0.15, 0.2, 0.25, 0.3, 0.35
真鍮ワイヤー線(真鍮ワイヤー線) 材質が真鍮で太さがφ0.2~φ0.3のワイヤー線が一般的。
タングステン線は真鍮より張力が数倍以上強いので、φ0.05以下の極細線に使われています。
又ワイヤ-線は普通1回だけの使いきりの消耗品です。
精度がラフな一部の機械では、ワイヤーをエンドレスで使っている特殊な場合もあるようです。

ま、常識かな。

(...こいつ、いつこんなもん作ってんだ?...)
加工範囲はどれくらいなんだ?

機械の稼動範囲がX=800、Y=1300でZ=500と云う大型機もあるようだね。
だから製品寸法はもう少し大きくても機械に載るので、製品重量だと2~3トン程度までは加工が可能なんだ。
小さい方ではφ0.02のワイヤー線が有る。
内形状加工でも最初にワイヤーを通すスタート孔が必要なので、その孔径で最小加工寸法が決まってしまうんだ。
今のところ一般的にはφ0.1程度が最小径に近いので、実用的な小さい方はその辺りだと考えられるね。
もちろん研究室の実験レベルでは、もっと微小な加工もできるようだよ。

ふむ。ではその精度は?

実際の加工精度は、製品の材質や形状がその時々で条件が異なるので、一概に言えない難しい問題かな。
ワイヤー放電加工の加工精度は、ピッチ精度・繰返し精度・真直度・真円度・タイコ量・コーナー精度と面粗度などで表されることが多いんだ。
この中でタイコ量というのはワイヤー放電加工の特有な現象だよ。
これは加工中に上下のワイヤーガイドの間で、ワイヤー線が微小に振動して振れるので、切られた製品の垂直方向の断面が、凹んだり凸ぱったりする量を言うよ。
真直度:1.5μ/60mm、真円度:1.5μ/60mm、面粗度:1.5Rmaxカタログや文献で見ると、このぐらいのデータが出ているので、現在のチャンピオンデータに近いと思われるね。
と言う事は、測定精度なども関係してくるので、通常はこの値の2~5倍ぐらいが実際の加工精度だという言い方も出来ると思うよ。

そうだな。簡単には言えないということなんだよな。
実際にお客様から依頼があるときには注意してもらわなきゃいけない事がある。それはな、ま

ストップ!もう「ご依頼の際のお願い」っていうページを先に作っちゃいました!お客様にわかりやすいように詳しく載ってるから父さんもみてみたら?

何だと!!?(...こいつ、どんだけ先回りするんだ?...)
現在機械を作っているのはどんなメーカーがあるか知ってるか?

それも表にまとめて主なメーカーのURLを載せておいたよ。
この中でアジェ・シャルミーはスイスのメーカーで、元はアジェとシャルミーという2つの会社だったんだ。
今は資本が一つの会社になっているけど、2社とも放電加工のパイオニア的な存在だね。

(株)アジェ・シャルミー (英語) http://www.gfac.com/
西部電機(株) http://www.seibudenki.co.jp/houden/index.html
ソディック http://www.sodick.co.jp/j-index.html
(株)牧野フライス製作所 http://www.makino.co.jp/product/waiya/waiya.html
ファナック(商品案内からロボカットへ) http://www.fanuc.co.jp/
三菱電機 http://www.nagoya.melco.co.jp/mechatro/diax/

ページは英語だけど、放電の歴史なども載っているよ。

お前はワイヤー放電加工の将来像はどのような物になると思う?

さすがにそれは難しい質問だなぁ。じゃーこの人に答えてもらおう!

君はジョーンズ...?ジョーンズじゃないか!!

そうなんだよ父さん。僕の大学の教授のジョーンズ先生!父さんとジョーンズ先生は昔同じ工場で技術を磨き合ってたんでしょ?

あーそうさ!あの頃がなつかしいな!

いやー懐かしいね。まぁ昔話はあとでゆっくり。それよりさっきの質問だが確かに難しい質問だな。
まずワイヤー放電加工機の位置付けだが、工作機械の中の電気加工機として、その加工の需要は暫く続くと思う。
ワイヤー放電加工自身がある精度のレベルでは、今まであった加工法に取って替わってきたわけだ。
その例として、単なる角孔を加工するブローチ盤加工や、精密金型のパンチやダイを加工するプロファイル研削盤加工がそうだろうと思う。
今のところ内側コーナーを必要とする形状の効率の良い加工方は、ワイヤー放電加工以外には見当たらない。
しかし他の工作機械と同でワイヤー加工放電加工機も常に、高精度化、高速化、自動化が求めらていることには変りがない。
特に近年は機械加工はナノテクノロジと言われるような微細化の要求が強まっている。
そんな中でマイクロマシンなどの、サブミクロン領域の加工を別にすると、特に焼入れ材や超硬合金で0.1mm程度の微細形状加工は、現状でワイヤー加工は形彫加工も含めて放電加工にしか出来ないケースが多いという強みを持っている。
だからワイヤー加工屋さんはそういう方向で技術的な向上を目指していれば、ある時突然にワイヤー放電加工の仕事が廃れてしまうようなことは考えにくいだろうと思われる。

(...数十年ぶりの再会なのに大分あっさりだな...)
ん、ん~。それで?具体的な課題についても聞きたいもんだな。

では話が長くなるので、私の教授室でゆっくり話そうか。

上級

何だか君らしくて暗い部屋だね。

どうも昔から明るいと落ち着かないのだよ。

ところで・・・
(1)高精度化、微細化について
*精度1μm以上。研削加工を超える精度が将来可能なのか?
*微細加工に必要な、φ0.1以下の小径下孔加工は急速に進歩するのか?
という点について君はどう考えるかな?

フム。真っ先にこの質問が来るとはさすがだ。
これらは基本的にME(マイクロエレクトロニクス)革命と言われる時代の中で、特に微細加工を必要とするIC産業が、金型製作に何をどこまで要求するかにかかっているだろう。
研削加工を超える精度については、研削加工精度の分野が従来のサブミクロンオーダーの精度から、ナノ・メータの世界に進んでいるので、放電加工の精度は追いつかないと思う。
だから当面のワイヤー加工の目標は高さが50mm程度で1μmの精度が保証できるようになれば、従来の精密研削加工と比べても遜色ないといえるだろう。
ということは機械メーカーとしては実質サブミクロンオーダーの精度が出せていなければ、精度を保証しますというわけにはいかないだろうな。
しかしワイヤー放電加工は、言うなればワイヤー線と云う細くて柔軟な工具を使っているわけで、ワイヤー線そのものの振動もあるのでこの精度のハードルは高いと思う。
小径孔加工機については、現在はワイヤー線はφ0.02の細い線もあるのだが、その下孔のための径はφ0.1以下で、しかも直径に対する孔深さ(L/D)が30以上(φ0.1の孔径なら深さ3mm)の深孔が必要になるだろう。
その小径孔を早く安く、しかも深く空けるのは大変だ。
今はまだ小径孔加工機がワイヤー放電加工機より高いような機械もある始末だ。
小径孔加工機械は各メーカーで出揃ってきているので、今後機械は安くはなってくるだろう。だが要求は常に果てしないので、さらに小さい孔径も求められてくるだろう。
現状のφ0.1程度から孔径をさらに0.01づつ小さくしていくには、2次曲線的な難しさが出てくるだろう。
現在は研究レベルでは深孔だとφ0.03前後のレベルにあると思う。
そして実際にワイヤー加工をするということは、その孔にワイヤー線を通さなければならないのだから、その難しさと面倒さが想像できるだろう。

ほう。では
(2)高速化についてこの先、高速化はどこまで進むのか?

うむ。
一部では300平方mm/分つまり60mmの板厚で5mm/分のスピードという数字も出ている。この実際の加工条件は詳しくは分からないが単に早く切るだけの、いわゆるチャンピオンデータだろうと思う。
でもこれは通常の2倍以上に相当するスピードだ。このように新しい電源回路が開発されたりして、さらに高速化の進む可能性はあるだろう。
でもこれからは今までのようにある時突然のように、数倍も速くなるというような目覚しい進歩は難しいだろう。
又、付帯設備の自動結線装置も結線時間が10秒台という速いものも出てきている。しかし一般のワイヤー加工では余りその効果がないのではないか。
君も「機械の構造」のところで言っているように、ワイヤー加工では速さより確実性だろう。仮に10秒で結線出来る能力があっても、1カ所通らなければ10時間以上も機械が止まってしまうこともあるわけだから・・・。
? どこかのメーカーで、もし下孔がしっかりと通っていなかったら、自分で孔を10秒ぐらいで明けて、すぐにワイヤーを通してくれるような機能の機械を作れば別だがね。
ただ、このような加工の高速化は加工代の低価格化に結び付いているので、加工屋さんにとっては痛し痒しなところもあるわけだ。

さすがだな。では最後に
(3)自動化について
*完全無人の長時間可動はどこまで可能か?
*そのためのロボットやリモート操作はどのぐらい進んでいるのか?

やはりそう来るか。
ワイヤーの高速化が進んだことによってフライス加工等で行なわれていた量産部品を、切削加工から電気加工に置き替えてワイヤー加工化するというようなことも、一部では行なわれている。
これは材料を最初に熱処理してしまい後工程を研削と放電加工だけで完成させてしまう考え方だ。10台以上の機械を初期セッティング作業以外は、ロボットなども使い全くの無人なので明かりもいらないわけで、昼間でも真っ暗な工場の中で機械だけが動かせておくというようなことが可能だ。
もしワイヤーリールの自動交換供給装置があれば理屈の上では、最長は機械のメンテナンスサイクルまでは動かせ続けられることになる。でもこういう量産加工は君のミクロ技研ではやらない加工の分野だと思う。
又最近の著しい通信技術の発達で機械可動状態を電話や無線を使って,外部から監視したりリモート操作をするシステムなどもあるようだ。
従来はノイズ等の影響を受けたりして誤信号が出たりするということも聞いているけど、これが安定して機械の可動状態を遠隔モニター化出来れば助かる事もあるな。
ただ精密な小物の単品加工や、多種少量の加工という場合では加工時間そのものは短いこともあるので、リモート操作というレベルの自動化がどこまで有効なのかは疑問だと思うね。

流石だな!ありがとう参考になったよ。やはり昔と変わらずワイヤー放電加工への情熱は変わらないようだな!

君こそ!良い息子を育てたな!若い世代が次の時代を築く。その為の技術継承はもうできたんじゃないか?

まだまだ!確かに知識は身についているようだが、現場にも立っていないからな。
ただ、身に付けた知識とこれからの経験でまた新しい技術が生まれることは間違いない。息子たちが新しい時代を開いてくれることを切に願っているよ。